芸術祭も「ねらい」に即して複眼的に評価すべき


芸術祭=アートフェスティバルが地方や都市で林立するようになって久しい。僕自身ここ二年ほど「六本木アートナイト」のガイドツアーのためのプログラムに関わらせていただいているところである。しかし、以下の記事にあるように、「アートフェスティバルでは、『地域おこし』があらかじめ目的として割り当てられており、個々のアートもその枠をなかなか出ない」というのは、実際のところそうなのだと思う。

アートと地方の危険な関係~「アートフェス」はいつまで続くのか?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49691

僕からすると、文化芸術について「動員数」とか「経済性」というわかりやすい物差ししか持たないことが課題なのではないかと思っている。また、アートなんだから開かれていていいでしょ、みたいなところもなくはないか。ねらいをきちんと定めて、それに照らしてどんなことが起こったのかをきちんと見極めることは必要ではないか。

たとえば高齢者が即興演劇に参加するようなアクティビティがあるのであれば、そのアクティビティに参加した人数だけでなく、その演劇の中でどんなことが語られたのか、鑑賞した人たちは何を感じたのか、そのへんを捉えられる仕掛けを仕込んでおけば、評価することは可能だと思う。

よくある満足度調査をするにしても、満足度の裏側にあるものを捉えないと、満足度を上げることだけが目的の薄っぺらい実践になる。参加者に何を考えてほしくて、それがどこまで実現できたのか、捉えるような調査を作品やアクティビティに埋め込むことは、できなくはないはずである。

つまり、「地域おこし」が具体的な目的に入ってしまうことの是非ではないのである。「地域おこし」とは具体的に何で、経済性も含むかもしれないがそれ以外にどのような指標をもって評価するのかの指針がないままのアートフェス隆盛は微妙だよね、ということである。その意味では、「地域おこし」というマジックワードをきちんと因数分解して具体的な目標(定量的でなくて、定性的でもよい)を立てれば、それに即してアートフェスを評価する試みもあってしかるべきなのではないか。

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(写真:名和晃平による六本木の森@六本木アートナイト2016)