東大入試(英作文)はアート鑑賞の問題だった!?


2016年度東京大学の入試・英語科で、興味深い問題が出題されたという旨が、東洋経済オンラインの記事になっていた。

toyokeizaihttp://toyokeizai.net/articles/-/111537

同記事では「模範解答がない」という点でこれからの大学入試と企業の採用との類似性を指摘しているが、ここでは問題の内容に触れたい。

question

対話型鑑賞:ヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズの最初の問いかけは「What’s going on in this picture?」である。日本語にすると、「この作品の中で、何が起こっていますか?」というもので、作品世界において繰り広げられる物語を引き出すような問いかけになっている。同問題は、そのオープンエンド性という点でヴィジュアル・シンキング・ストラテジーズの問いかけにきわめて近い。

解答例について、私は英語が得意でないのでいったん日本語で考えてみる。

家の中で、細やかな模様の入ったじゅうたんの上で無防備におなかを見せながら寝ている猫を、指でつまむような形で撮影した写真。遠近法を利用して手のひらサイズに撮るというやり方から、撮影者の猫に対する愛情が見て取れる。猫が寝転んでいる上質そうなじゅうたんからも、猫が大切にされているであろうことが想像できる。

同問題の採点基準がどうなっているかはわからないので、上記解答がどのように評価されるかはわからないが、対話型鑑賞における筆記課題の評価の観点としては、VTSの問いから、以下の点が考えられる。

  1. どこからそう思ったの?:What do you see that makes you say that?(作品の中に根拠を示しているかどうか)
  2. ほかには発見はありますか?:What more can we find?(作品の中にどれくらい多くの発見をできているか)

こうしたことを鑑賞の中で行っていくことで、アメリカではESL(第二言語としての英語学習者)の言語発達にもポジティブな影響を与えたという研究結果もある(ヤノウィン2015)。何でも書いていい、模範解答のない問題だからこそ、こうした評価の観点はリジッドに作成しておく必要がある。こうした問題が多くなっていくと、受験対策ではない、学校教育内外の思考力を育成する取組が効果を発揮することになるだろう。

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